オル太が久々に私たちの前に姿を現しました。
しかも新しくなって。
ところは恵比寿のNADiff a/p/a/r/t(ナディッフ アパート)。
地下に続く階段を降りるとほんのり線香の匂い。

なに? なに? と思いながら目にしたのがこの光景。
大きな水面に浮かぶ新作「ヘビの渦」。

こちらは「ヘビの渦」の中の「電波の礎」。
昨年11月の「東京デザイナーズウィーク」が初出。
現代の鹿おどしは蚤の心臓に当たり、カチッ、カチッと音を立て、
水が溜まるとハイブリッドオルガネラの頭蓋骨に流れ落ちます。

「零人札」。都市も国家ももともとは
人びとが暮らしやすくするためのものだったのに、
形骸化し、自己目的化した管理社会の渦にのみ込まれ、
ついにそこに人びとはいなくなってしまいました。
「零」の文字が刻まれた紙幣が虚しく宙に浮かびます。
巨大な鏡のようなお札は、
脳ミソの上に立つ国会議事堂を映し出します。

これは「脳の墓標」と呼ばれています。
議事堂の裏側(手前側)は墓石になっていて、
香炉にはお線香が焚かれていました。
地下に入って、真っ先に鼻にきた匂いはこれだったんですね。

「零人札」の向こうの壁に映し出されているのは
「零選挙ポスター掲示場」。
人びとから選ばれたはずの政治家が、人びとを無視し続けた結末です。
手前のラッパのようなものは「肺の蓄音機」
(写真にうつってるものと奥の壁のふたつあります)。
身体の声を聞く装置。
しかし、聞こえてくるのは温かみのない人工的な「声」ばかり。
農村から都市へ。過去から現在、そして未来へ。
オル太の表現フィールドはここ一年ほどで大きく変化しています。
フランスの哲学者ジル・ドゥルーズの言葉を受け、
「ヘビ」を管理社会の象徴とした今回の「ヘビの渦」。
管理社会の行く末は、都市の未来は、冷たくてちょっと寂しい。
でもこのままじゃいけない。
現代の政治と社会に対する熱のこもった警鐘です。
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「ヘビの渦」NADiff a/p/a/r/tにて2015年3月8日(日)まで
2月28日(土)18時から、〈ゼロ次元〉加藤好弘との
トークセッションがあります。
http://www.nadiff.com/gallery/olta.html#event●
TWS-NEXT @tobikan 「上野のクロヒョウ」あさって2月19日(木)から東京都美術館 ギャラリーBにて。
参加アーティストは、市川紗也子、オル太、佐藤未来、平川 正
2月21日(土)15時からアーティストトークもあります。
http://www.tokyo-ws.org/archive/2015/01/o0219.shtml