2007年05月13日

役者が揃いすぎている(後編)

その日の山本スーザン久美子の口頭弁論は、
10時から17時まで丸一日の長丁場。
原告・被告の主張や反論がだいたい出揃った後の段階で行われる
証拠調べ(本人・証人)というものでした。
ひらたく言うと、原告・被告本人への尋問と証人尋問です。
もうスーザンが帰ってしまうってことは
スーザンへの本人尋問は終わってしまったのかな〜っと
少々がっかりしたのですが、
うれしいことにスーザンは再び法廷に戻ってきて
原告側の席に着きました。なぜだ?
事情がよく飲み込めないまま、午後の弁論が始まります。

証言台の前に二人のおっさんが出てきて宣誓をしました。
一人はS田医師、もう一人はM島医師。二人とも歯科医です。
尋問は、S田主尋問→M島主尋問
→S田反対尋問→M島反対尋問
の順で行われるとのこと。

S田医師が証言台に立ち、
被告側の弁護士(被告代理人)主尋問を始めました。
ということは、S田医師は被告側の証人なのですね。
被告代理人とS田医師とのやりとりで証人尋問が進むのですが、
この被告代理人、なんとも気の弱そうなおっさんで、
傍聴席から見ていても「アンタ、大丈夫かぁ?」
と、声をかけてあげたいくらいでした。
M-otokom.jpg
おどおどと尋問していると
原告席から「異議あり!」と声がかかってしまう(笑)
それに充分な反撃もできず、またまたおどおどと尋問が進むという
なんとも心許ない弁護士なのでした。
ひょっとしてあんたMかぁ? といいたいくらい。

次にM島医師が証言台に立ち、
原告側の弁護士(原告代理人=さきほど「異議あり!」と
発言した人物)
主尋問を始めます
(M島医師は原告側の証人ということになります)。
こちらの原告代理人、被告代理人とはまったく対照的な
気の強そうな、すれた感じのキツネ目の女
しかも服装は全身黒ずくめ、法廷にふさわしくないほど化粧も派手です。
ソバージュの毛先は色が抜けて茶色くなり、
おまけに黒いストッキングにはぽっかりと穴が開いていた(笑)
しゃべればダミ声、その物言いからして超ド級のSです!
doS_onnam.jpg
キツネ目ドS女はS田医師への反対尋問でついに大爆発します。
いくら被告側の証人だからって、
そんな高圧的な態度で尋問していいのかぁ? といいたいくらい。
だって、S田医師言ってましたですよ。
もう少し、やさしく言ってくれませんか?」(笑)

しかも、しかもですよ!!
キツネ目「○○○は、○○○だから、○○○ですよね?」
S田医師「はい」
キツネ目「○○○ということは、○○○で、○○ですね?」
S田医師「はい」
お〜い、もろに誘導尋問でーす!

しかも、しかもですよ!!
キツネ目「○○○について、一般的には、どうだと思いますか?」
S田医師「それは△△△だと思います!」

お〜い、もろに意見を求める尋問でーす!!

祈る気持ちで被告席をみると、
M男は目をしょぼしょぼさせながら黙って座っているばかり……。
こらっ! そこで「異議あり!」と言わねば、
男じゃないだろ!!

というより、相手は民事訴訟規則115条2項各号(質問の制限)を
総ナメするような尋問ばかりしてるのに、
そのまま許してるようじゃ、弁護士失格だろ〜〜!!
しかし……、
M男はS女に対してついに「異議あり!」とは言いませんでしたorz


そんな喪失感とも虚脱感ともいえぬ感覚にとらわれ、
途方に暮れているわれわれのもとに
颯爽とやって来たのが、左陪席裁判官
誰も否定しようのないほどの美人。
「裁判所より質問させていただきます」
気品あふれる軽やかな声でポイントをついた質問を
S田医師に対して投げかけてゆきます。
すばらしい、すばらしすぎる……。
hidarim.jpg
私の勝手な好みを言わせてもらえば、
キツネ目ドS女がイヤな女の典型とすれば、
左陪席さんは素敵な女のひとの典型ですね。


いや〜、しかし、この事件は大当たりでした。
たんなる元タレントが訴えを起こした事件ではありません。
もちろんそれもありますが、
M男キツネ目ドS女、そして左陪席さん
役者が揃いも揃っているのですから。

さらに言うなら、このスーザンの事件は、
(まだ全貌はつかめていないものの)医療事故に関するもので、
顎関節症が認められる場合の歯列矯正の是非を問うような内容でした。
(そう言えば、スーザンは尋問中
 つねに詳細なメモを取っていました)
いままで接したことのない医療事故の
損害賠償請求事件
であるという点も
われわれの興味をそそる重要な要素になっています。
ただ、「治療器具を患者の胸の上に置いていたのはふつうか」
というような質問も出ていたので、
訴えるきっかけにはセクハラみたいなものもあったようです。
ただ、当日の尋問を聴いている限りでは
いまいち争点がつかめませんでしたが。


で、最後に一言……。

あたしゃ〜、裁かれるなら
左陪席さんみたいなひとに裁かれてみたい!(爆)


民事訴訟規則第115条第2項

当事者は、次に掲げる質問をしてはならない。(中略)
一 証人を侮辱し、又は困惑させる質問
二 誘導質問
三 既にした質問と重複する質問
四 争点に関係のない質問
五 意見の陳述を求める質問
六 証人が直接経験しなかった事実についての陳述を求める質問
posted by ひろとも at 00:53| Comment(3) | TrackBack(1) | 法廷傍聴 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
やはりこの裁判の件はニュースでは出ていませんでしたね。あと、頼りなさそうな人と感じの悪い女の人、美人で優しそうな女の人の様子がいかにもよくわかるイラストでした。以前の裁判の記事と同様に今回も面白かったです。また、文章も非常に詳しくてマスコミに取り上げられないような内容まで色々書いていてよかったです。
Posted by さらりとした梅酒 at 2007年05月13日 08:51
さらりとした梅酒さん、こんにちは。
楽しんでいただけたようでよかったです。
さいきんは写真が便利になって法廷内で写真が撮れないのもおかしいと思うのですが、絵もいいところありますよね。書き手の思いがそのまんま出てますから(笑)
Posted by ひろとも at 2007年05月13日 13:51
傍聴日記とても面白いです。
ある弁護士のブログでも紹介されていました。
「それでもボクはやってない」映画感想の記事です。

ところで、反対尋問では、誘導尋問を行ってもたしかいいのですよね。主尋問で誘導尋問をした場合に異議がだせます。
Posted by とら at 2017年05月29日 19:04
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Excerpt: 5/11に仲間内で追いかけていた貸金訴訟判決があったので 東京地裁へロビーで待合
Weblog: どんぶり税理士の湘南日記
Tracked: 2007-05-28 21:23