2015年08月04日

どこにでもいそうなふつうの主婦が刑務所に入るまで(2)

なにげなく覗いた法廷がなかなかに奥深かったこの事件。
第二回公判と判決言渡しの様子を記します。
前回時間切れのため途中で終わってしまった
被告人質問の続きからはじまります。

      *      *      *

平成27年 道路交通法違反

平成27年6月××日 公判(第二回) 被告人質問

(1)被告人質問
弁護人の主尋問は、被告人が実刑判決を受けて家にいなくなることにより、家族がどれだけ困るかという一点に焦点が当てられた。
被告人によれば、まず義父が困る。右目を失明しており、洗面所をトイレと間違えたりといった症状も出ている。介護保険も使えない現状で、被告人がいなければ世話をする人がまったくいなくなってしまう。
高校に進学したばかりの長男もまだ手間がかかる時期である。長女も被告人の代わりはいないといってくれている。C市に住む被告人の実母のことも心配だ。
無免許運転をしたことについては、一時の感情によるものである。自分が自分じゃないような感じになってふだんはしないことをしてしまった。
終わりが見えないこの生活から逃げ出したいという気持ちもあった。違ったカタチでの生活になってもいいんじゃないか、いっそ刑務所にでも入ってしまえばいいんじゃないかとさえ思った(「いっそ刑務所に」の発言を受けて、反対尋問をした検事自身が焦り、それを察した被告人との間に妙な空気が生まれて、なんとかその場を取り留めたという一幕もあった)。

20150729002tm.jpg被告人

そんな中、同じく介護に追われている友達と一目会って話をすれば、いくらかでも気が紛れるのではないかと思った。その友達は長女の高校時代のママ友で、介護の程度はその友達の方が大変そうだった。友達には悪いと思ったが彼女と会えば、あの人ががんばっているのだから、と自分も楽になれると思った。ちょうど当日、その友達がほしいと言っていた化粧品が届いたので、それを届けがてら一時外出することにした。
移動手段については、自転車、タクシー、バスいずれも時間がかかるので考えなかった。やはり義父が待っていることを考えると長時間家を空けるわけにはいかない。免許は取り消されているが、やむなく自動車で出かけることにした。
検察官は三回目の無免許運転で起訴されているのに、その初公判前にダイハツココアを購入したことをまったく反省の姿勢が見られないと追及する(検察官がこのことを言った瞬間、傍聴席から「そりゃ、だめだよ〜」というため息のようなものがもれてくる)。
被告人はダイハツココア購入については、長女の自動車免許取得を控えてやむを得なかったと説明し、さらに介護がギリギリの状態で大変であったことなどを理由に加え、いっそのこと生活を変えてもいいとなどと支離滅裂な発言をしはじめて、検察官に話を遮られてしまう。
被告人の感情の高ぶりはなおもおさまらず、実父の死に目にも会えない自分がなぜ義父の介護にかかりっきりにならなければならないのか、なぜ自分だけがこうなってしまうのか、義父はふだんは温厚な性格であるが自分にだけはまるでお手伝いさんであるかのような扱いをする、夫は無免許運転をするなと口ではいうが、実際には家庭のことを見てくれないし、介護もしてくれない……と涙を流しながらそれまでの不平や不満を質問への答えにぶつけ続けた。
そんな流れの中にありながら、検察官とのやりとりにおいて被告人は割と冷静な受け答えをする。「いままで四回しか無免許運転をしていないのに、その四回とも警察に検挙されているのはおかしいと思いませんか?」という質問に対しては、「おかしいとは思いません」ときっぱり答え、「前回の無免許運転の裁判でももう運転しませんといいながら今回の裁判となった。今回もう運転しませんと言われても信用できない」という検察官の再度の追及にも「それは信じていただくしかない」と言い切った。
被告人質問後半になってきて、被告人の口調もだいぶ落ち着いてきて、今回裁判になったことを受けて、みんなが変わってくれたことはよかったことだと言う。
家族ともよく話すようになった。転居以来ひととおりのあいさつぐらいしかしてこなかった近所の方とも今回の事情を含め、いろいろと話ができるようになった。自分をお手伝いさん扱いしていた義父も人として見てくれるようになった。生活の質が少しだけあがった。きょうもいま家を空けているが、隣のKさん、もしくは向かいのSさんが義父をみてくれている。
最後に裁判官が、介護への憤りや生活を変えたいといったやけっぱちな感情もありつつ、一方でふだんの生活をキープしたいがゆえに長時間の外出はできないと判断し、それらが自動車の運転につながったという理解で良いか、と被告人に確認を求め、被告人もそれを認めた。

(2)求刑
弁護人は、過去の前科には疑義があり、公訴事実を争えば無罪の可能性もあったと言うべきで、また被告人が家庭をあけることは家族のみんなが困ることでもあるので、再度の猶予ある判決を求めた。
検察官は、前科が多く再犯の可能性も高いことから、懲役七月の実刑を求めた。


      *      *      *

どうやらこの主婦、免許取消を受けた後も
日常的に無免許運転を繰り返したようです。
果たして、今回も執行猶予付きの判決になるのか。
それともこんどこそ実刑になってしまうのか。
公判は二回で結審したので、数週間後に判決言渡しとなりました。

      *      *      *

平成27年7月××日 判決言渡し
(1)判決
懲役六月(実刑)。
裁判官は、被告人は業務上過失致死罪、自動車過失運転傷害罪の後、三度の無免許運転を繰り返し、その後、今回の事件を起こした。義父の介護といった家庭の事情を鑑みても、これは到底正当化できるものではないので、上記のとおり罪を償え、とした。

20150729003saibankan.jpg裁判官

(2)証拠の追加
判決の言い渡しは11時30分からの予定であったが、弁護人からの証拠の追加があり、10分ほど予定外の時間が発生した。判決言い渡しは11時50分であった。


      *      *      *

やはりというべきか、懲役六か月の実刑判決となってしまいました。
無免許運転を繰り返しただけでも刑務所に入れられてしまうんですね。

協力:Oさん
※(1)〜(2)を通じて取材、資料提供等にご協力いただきました。
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2015年07月31日

どこにでもいそうなふつうの主婦が刑務所に入るまで(1)

ひさしぶりに法廷傍聴に出かけました。ところは横浜地裁。
なにげなく入室した法廷で思わぬことがおきました。
最初、傍聴席にいたどこにでもいそうなふつうの主婦が
被告人の席に座ったのです。
この事件は道路交通法違反ということで、
軽微な事件だと思っていたのですが、
この主婦、なんとも面妖な過去をお持ちでした。

      *      *      *

平成27年 道路交通法違反

平成27年6月××日 公判(第一回) 被告人質問、証人質問

(1)公訴事実等(その後の公判により明らかになった事実も記載した)
被告人は神奈川県A市在住の四十代後半の主婦。夫、長女、長男、義父と暮らしている。
被告人は平成27年3月30日、自動車運転免許が取消されているにもかかわらず、自動車の運転をした。道路交通法違反(無免許運転、一時停止義務違反)。

20150729003saibankan.jpg裁判官

被告人には前科がある。
一回目は業務上過失致死罪にて罰金刑。発生年月不明。病院の駐車場で高齢女性と衝突し死なせたというもの。被告人には女性と衝突したという認識はなかった。車両には鑑定において傷がないとされたが、事件から五年経ったころに警察から連絡があり、その罪を再度問われ罰金刑となった。
二回目は自動車過失運転傷害罪。平成21年7月発生。交差点を右折しようとしたところ、後から歩行者が追いかけてきて右足を轢かれたと訴えられた。その場で被害者に訴えられたので、なにかが起こったという認識はあるものの右折車の左側から近づいて来た人が轢かれたというのは不自然だと感じた。しかし特に強い反論はせず、罰金刑となった。
二回目の罰金刑の後、被告人の自動車運転免許は取消となった。
三回目は無免許運転。平成23年11月16日発生。
四回目は無免許運転。平成24年3月15日発生。
五回目も無免許運転。平成25年11月27日発生。起訴された。その後、再犯防止のために当時の車両フィアットは廃車とした。初公判は平成25年12月18日であったが、その直前に娘の運転免許取得(予定)を理由にダイハツココアを購入している。
裁判の判決言渡しは平成25年12月27日であり、執行猶予付き有罪判決。
判決言渡し日の前日12月26日に被告人の家族は、B市から被告人の夫の両親が住むA市に転居。偶然同じ日に被告人の夫の母が死去。
今回の公訴事実は、六回目の罪であり、四回目の無免許運転となる。また三回目の無免許運転による刑の執行猶予期間中でもある。

(2)被告人質問
平成27年冬から春にかけて、被告人はとても苦しい時期を過ごしていた。
平成25年冬A市に転居して以来、義父(被告人の夫の父)の介護に追われていた。義父は元学校長であり、頑固であった。右目を失明していて、一時は「要介護3」の認定を受けていたが、退院後は被告人が毎度の食事を用意し、トイレの介助をするなど献身的に介護をした結果、病状等は快復しとても元気になった。ところが平成26年秋に義父の「要介護3」が取り消され、いきなり「自立」となった。以前はヘルパーに頼めていたことが急にできなくなり、忙しさはかえって増えた。なにより義父と四六時中家の中で二人一緒に過ごさねばならないことが重い負担となった。
それに加えて、長女の進学の問題が重なる。長女は当時短大に通学していたが、四年制大学への編入について被告人は長女と口論を繰り返した。もともと長女へ短大を勧めたのは被告人ということもあって、長女に責められることになった。

20150729003hikokunin.jpg被告人

長男は当時中学三年生で、高校受験に忙しい時期でもあった。
このような忙しく苦しい時期にもかかわらず、夫は仕事を理由に自分の親の介護も含めて家庭の問題にきちんと向き合ってくれなかった。
そんな中、友達のもとへ化粧品を届けるためについ自動車を運転してしまった。
現在は夫も家庭を顧みなかったことを反省してくれている(証人質問)。長女は四年制大学に、長男は高校に無事合格した。「それが私はうれしくて……(涙)」


      *      *      *

驚きました。この主婦、過去に人を一人死なせているのです。
話を聞く限り、かなり信憑性に乏しいのですが。
だって傷害過失致死で罰金刑って、ふつうじゃないですよね。
ただ、本当にいろいろな問題が重なっているときに
事件が起きてしまったようで。
(つづく)
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2011年08月02日

市橋達也【千葉地裁】

被告人市橋達也(32)の裁判。
7月4日から7月12日までに6回ほど証拠調べなどが行われ、
7月21日に判決が言い渡されます。
このうち11日と判決の出る21日の二回、
私は千葉地裁に赴き、傍聴券を求めて行列に並びました。

この事件は報道でも明らかですが、千葉県市川市で2007年、
英会話講師の英国人女性リンゼイ・アン・ホーカーさん(当時22歳)を
殺害したとして、殺人、強姦致死、死体遺棄罪に問われたもの。
事件そのものも残虐でしたが、市橋のその後の逃走劇がまた壮絶でした。

傍聴人が多いだろうから、当然抽選になるだろうし、
はずれる可能性のほうが高いのだけど、
とにかく行かなければ、当たるものも当たらない。
そう思い、片道一時間かけて千葉地裁まで行きました。
20110721_6935.jpg
裁判所に近づくとテレビ局などの事業用車がずらり並んでいます。

20110711_6803.jpg
こちらが正面玄関。ここから先は撮影禁止です。

20110711_6794.jpg
傍聴券を求める行列。まず抽選バンドをつけてもらい、
20分後の当選番号の発表を待ちます。

20110711_6798.jpg
これが抽選バンド。自分で外すと無効なのですが、
片手では自分ではずせません(笑)

20110721_6938.jpg
裏門側も報道陣が押し寄せています。

20110711_6800.jpg
おや? バスが到着しました。
スモークガラスで車内は見えませんでしたが、
あのバスに市橋達也が乗ってたのでしょうか?

ちなみに抽選は二回とも大ハズレ。残念orz
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2009年08月28日

それでもボクは罷免されない

いよいよこんどの日曜日は衆議院議員総選挙。
政権交代なるかどうかは注目すべきことではありますが、
そんな総選挙にいつもおまけのようについてくるのが、
最高裁判所裁判官国民審査

これ、憲法第79条に規定されているもので、
最高裁裁判官の信任・不信任を
国民が直接判断できる唯一の制度でもあります。

審査の対象となるのは、就任してはじめて
総選挙投票日を迎える最高裁の裁判官。
方法はいたってカンタンで、
国民は罷免したい裁判官の名前の上に「×」とつけるだけ
(用紙は選挙の投票の時に渡される)。

これちょっと考えるとわかるのですが、
ダメと思う人にだけ「×」をつけるってことは、
「×」以外は自動的に「○」になる
んですね。
国民が裁判官のことをどんな人かわかんなかったり、
そもそも制度自体なにを意味するのか
わかんなかったりするとき、
たいていの国民は白紙のママにします。
なので、ほとんどが「○」という
独裁政権の選挙結果のようになるのです。
げんにこの制度により罷免された裁判官は
過去に一人もいません。

その現状を少しでも打破するため(笑)
私はつねに「全員に×」をつけることにしています(^_^;)
(※あまり真似しないでくださいネ)

ですが、こんどの国民審査はちょっと事情が違います。
痴漢冤罪事件(平成19(あ)1785)について被告人を無罪とする
画期的な意見を示した裁判官がその中に二名いるからです。

今回審査される裁判官は下記の九名です。
判事 櫻井龍子
判事 竹内行夫
判事 涌井紀夫
判事 田原睦夫
判事 金築誠志
判事 那須弘平
長官 竹崎博允(崎の右上は「立」)
判事 近藤崇晴
判事 宮川光治
各裁判官の経歴や主な実績については選挙管理委員会発行の
「最高裁判所裁判官国民審査公報」をご覧ください。


★痴漢冤罪事件については下記の記事をご参照ください。
http://xupotomo.seesaa.net/article/117745704.html



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2009年04月19日

それでもボクはやってない【番外編】

2009年4月14日、最高裁判所で画期的な判決が言い渡されました。
痴漢事件での逆転無罪判決です。

事件は三年前の4月18日、朝の小田急線内で発生しました。
当時17歳の女性が痴漢被害を受け、その犯人であるとして
防衛医科大学教授の名倉正博さんが逮捕、起訴されたのです。

名倉さんは一貫して無罪を主張したものの、
一審において懲役一年十月の有罪となり、
二審では控訴棄却となりました。
もうあとがない最高裁で逆転、無罪となりました。

私はかつて、横浜市職員Fさんの痴漢事件を追い続けていました。
http://xupotomo.seesaa.net/article/108412857.html
一審、二審での一方的な決めつけに近い判断、
最高裁での御簾の奧のような閉鎖的な審理(当然、有罪確定)。
司法に対して失望していたところなので、
今回の逆転無罪判決はとても感慨深く受け止めました。

裁判所のHPから判決文がダウンロードできるので読んでみました。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090414170745.pdf

被害者女性が本当に痴漢をされたのか?
痴漢をされたのだとしたら、犯人は名倉さんか?
この事件については「合理的な疑いを超えた証明」がなく、
グレーゾーンであると最高裁は判断しています。
つまり、真実は闇の中なんですね。
その状況の中では「疑わしきは被告人の利益に」という
原則を適用して、無罪とすべきというのが今回の判断です。

疑わしきは被告人の利益に」の原則……。
ようやくこの原則がでてきたか、というのが私の率直な感想です。
いままでの痴漢事件については、
被害者の供述は具体的、迫真的で信用でき、
被告人の供述は不合理、不自然で信用できない、
となんの根拠も示されないまま判断され、
被告人が無罪を主張しても、簡単に有罪が言い渡されていました。
裁判の構造的にいえば、「冤罪を作り出しやすい状態だった
と言っても過言ではありません。
「疑わしきは被告人の利益に」……
裁判所がこの原則にいまいちど立ち戻ってくれるのなら、
これからの刑事事件の流れも大きく変わる可能性があります。
その意味で、今回の判決は画期的だといえます。

やはり私はFさんのことを思い出してしまいます。
「疑わしきは被告人の利益に」、
この原則がまっとうに適用されるのなら、
Fさんも当然に無罪になっていただろうと……。


判決文要旨
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2008年10月23日

それでもボクはやってない【最高裁・上告篇】

横浜市職員のFさんが痴漢の罪に問われた事件。

2008年1月18日に横浜地裁で懲役6か月・執行猶予4年の判決。
2008年6月18日に東京高裁で控訴棄却の判決。
被告人であるFさん側は即日上告しました。
最高裁判所では書類審のみが行われていたようですが、
昨日10月21日、最高裁に問い合わせたところ、
「この10月中に事件は終局した」
とのこと。
どのような判決が出たかは非公表でしたが、
公判は開かれず、「資料は検察に戻された」ようなので、
上告は棄却され原判決が確定したものと思われます。


この事件に関する記事は以下の通りです(古い順)。

http://xupotomo.seesaa.net/article/66750702.html
http://xupotomo.seesaa.net/article/66752491.html
http://xupotomo.seesaa.net/article/66756147.html
http://xupotomo.seesaa.net/article/73354907.html
http://xupotomo.seesaa.net/article/79441857.html
http://xupotomo.seesaa.net/article/96002126.html
http://xupotomo.seesaa.net/article/98215881.html
http://xupotomo.seesaa.net/article/98235242.html
http://xupotomo.seesaa.net/article/100986394.html
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2008年06月20日

それでもボクはやってない【東京高裁・控訴篇】判決(第三回公判)

横浜市職員のFさんが痴漢の罪に問われた事件の控訴審。
6月18日14時より、東京高裁803号法廷にて
判決の言渡しがありました。

事件の概要・第一審の経過・控訴審第一回の様子は、こちら
控訴審第二回の様子は、こちら と こちら
をそれぞれご参照願います。


さて、高裁の判断……。

開廷後すぐに主文が言い渡されました。


 主文
 本件控訴を棄却する。



問答無用の有罪判決。
もう、続きの「理由」を聞く気がおきませんでした。

Fさん側は即日上告したもようですが、
最高裁にいくからといって、
事態は変わるものなのでしょうか。





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2008年05月29日

それでもボクはやってない【東京高裁・控訴篇】第二回公判後篇

横浜市職員のFさんが痴漢の罪に問われた事件。
控訴審第二回公判のつづきです。

主尋問(弁護人)、反対尋問(検事)に続いて、
こんどは裁判所の質問です。

(3)裁判所
 左陪席の中年男が質問をはじめます。
 その口調に若干トゲがあります。
 (イ)写真の位置関係はあなたの記憶にもとづいてるのか?
  <被告人(以下略)>
   私の記憶と、被害者の記憶も一部あります。

 (ロ)被害者の肩とあなたの胸は接していたのだから、
   被害者の尻とあなたの腰はくっついてなかったのか?
   向きが斜めにずれていたので、くっついてませんでした。
   車内で必ずしもまっすぐ立っていなかったことも
   関係してるかもしれない。

 (ハ)あなたのカバンと傘は不自然に押されてなかったのか?
   カバンと傘は左の男のうしろにあったので
   押されてません。


 このあたりから、左陪席はかなり高圧的な態度。
 質問内容も意味不明になります。
20080526kosai03.jpg

 (ニ)真犯人は女子高生の左肩はさわらなかったが、
   車内ではさわれないような状況にあったのか?
   わかりません。
 (ホ)手をつかまれたとき感触はあったか?
   わかりません。
 (ヘ)真犯人の存在はなぜわからなかったのか?
   裁判所は(公判の事前に)被告人質問もしてるのに、
   なんでわからなかったの!?
 もう、答えようがありません。

 次に裁判長が質問。
 (ト)被害者とあなたの肩と腰の触れ方と
   位置関係は、いままでの話でまちがいないですね?
   ありません。
 その後裁判長は、証拠の取扱について、弁護人と話し合い。

 そしてなぜそんなに先を急ぐのかわかりませんが、
 裁判長はもう話をまとめようとします。
 弁護人がそれを遮り、弁論要旨を朗読させろと主張。
 裁判長は驚いた様子で、それならと許可します。

(4)弁論要旨(弁護人)
 女子高生供述の犯人は現実とは違う。
 被害者女子高生は、自分の靴と他人の靴の接触具合などから、
 犯人は被害者の真後ろにいたとしているが、
 両足の靴とあたったのは左と右、別の人の靴ではないか。
 被告人の立ち位置は、女子高生の認識と違う。

 被告人は、位置関係から考えて、被害者のいうような
 さわり方はかなり無理な姿勢をとらなければならず、
 痴漢行為はできない。
 しかも被告人の右前にも別の女の人がいた。
 ただでさえ、そんな姿勢は混雑した車内ではとても目立つ。
 もし上半身を傾けるような姿勢を二分間も続ければ、
 周りのひとにわからないはずがない。

 「まもなく菊名です」というアナウンスで
 痴漢行為はとぎれている。
 真犯人は、このあと電車にブレーキがかかり、
 痴漢はできないと思ったから、やめているのだろう。

 女子高生が被告人の手をつかんだことについては、
 争いがないが、その手は痴漢行為はしていない。
 もしさわったとしても尻に軽く手をおく感じである。

 「まもなく菊名です」のアナウンスの
 前と後とで女子高生の尻をさわった手が同じだと考えるのは
 無理がある。それぞれ別の手と考えるべきである。

 警察は、この事件について科学的捜査を一切していない。
 唾液をとったりしても、その結果が示されていない。
 捜査機関が撮影したビデオは、
 被害者と被告人とで同じ身長の人をモデルにしている。
 しかしそれでは真実は浮かび上がってこない。

 前審の裁判所の事実認定も、
 被害者の供述は、合理的で信憑性があるとの
 常套句を使いながら、その供述をそのまま認定するばかりで、
 とても納得いくものではない。

 よって被告人は無罪である。


弁護人の弁論が終わると、裁判長はそれにはなにも触れず、
前回同様てきぱきと次の日程を決めようとします。

「じゃー、判決は6月16日でいいですかー?」

おいおい、もう判決かよ(ToT)

ただし16日は弁護人の都合がつかず、再度日程調整。
とにかく来月中にはあっさり判決が出るそうです。

なんだかあれよあれよという間に事が運ばれていく。
それが、不安というか、不満というか。
不完全燃焼な感じです。


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2008年05月27日

それでもボクはやってない【東京高裁・控訴篇】第二回公判前篇

横浜市職員のFさんが痴漢の罪に問われた事件の控訴審。
5月26日、東京高裁803号法廷にて第二回公判がありました。

事件の概要・第一審の経過・控訴審第一回の様子は、
こちらをご参照ください。


今回は被告人質問。時間は14時から15時までの1時間。

20080526kosai01.jpg

顔ぶれは第一回と同じで、
裁判官は三人(裁判長・右陪席・左陪席)と、
左側が被告人と弁護人。
右側は女検事。きょうは顔がちゃんと見えました。
上品なおばちゃんという感じだけど、やる気なさそう。

20080526kosai02.jpg

ちょっと時間が早いけど、みんな揃っているということで開廷。

主尋問(弁護人)、反対尋問(検事)、裁判所の順で行われました。

(1)主尋問
 弁護人の男弁護士が次のような質問をしていきました。
 (イ)第一回公判で放映したビデオテープの作成過程について
   電車内のパイプの高さ、被告人と被害者の女子高生の
   身長なども確認した。
   被告人の身長は、178センチ、
   被害者の身長は、162センチである。
 (ロ)証拠として提出された写真の撮影日時・場所について
 (ハ)被害者の女子高生との車内での位置関係は
   これについては、女子高生がいう内容と
   被告人がいう内容とは一致していることが確認された。
 (ニ)女子高生が主張する痴漢行為を被告人ができたかどうか
  a 臀部について
   <被告人>
   判決文に採用されている被害者の主張する痴漢内容は
   もし私がいた位置からそれを行おうとすれば、
   上半身を右に傾けながらひねり、さらに
   (身長差があるので)膝を曲げないとできない。
   この体勢を満員の電車内で、二分間も続ければ、
   かなり目立つし、現実として不可能だ。
   もし、これが自分の左側にいた男の位置なら
   右手を伸ばせば自然な姿勢でできただろう。

  b スカートの中について
   <被告人>
   上半身をさらに右に傾けながらひねり、
   膝も曲げて、手もねじったうえでさらに奥に手を
   伸ばさないといけないから、到底不可能である。
 
  c 車内の混雑状況について
   <被告人>
   ぎゅうぎゅうの満員電車であり、
   上半身を傾けたり、膝を曲げたりできるような
   混雑状況ではない。

 (ホ)女子高生に被告人自身の手がふれたか
  <被告人>
   さわったかもしれないが、記憶にない。

 (ヘ)裁判の途中で真犯人の存在を主張したのはなぜか
  <被告人>
   判決文では公判の途中でいきなり真犯人の存在を
   ほのめかしたとされているが、
   左に男がいたということは警察でも、検察でも言った。
   その男が犯人かどうかについては、
   被害状況を知らないのでわからないとしか言えなかった。
   公判で被害状況が次第にわかってきたので、
   それなら左の男かも知れないと思うようになった。

 (ト)警察で唾液をとられたことはあるか
  <被告人>
   大きい綿棒のようなもので頬の裏側をこすられた。
   なんのために、とかの説明はなかった。

 (チ)原判決をきいたときの心境は
  <被告人>
   結局、わかってもらえないのかと失望、絶望した。
   いろいろなことが脳裏をよぎった。
   なんでわかってもらえないのだろう。
   裁判所はわかってくれると思って、
   4か月の勾留にも堪えてきたのに。
   その後は、気持ちとしては前向きにがんばろうと思った。
   家族や友達やみんなに支えられてきた。
   裁判中は休職処分になる。
   公務員なのでバイトもできない。
   仕事や職場や社会に取り残されたような孤独感におそわれた。
   気分転換をしようと、
   友達と釣りやサッカーをしたりもするが、
   つねに心に靄や霧がかかったような感じがする。
   早く仕事に戻りたい。
   それでも、
   やってないことをやったと言って、
   一生後悔することだけは、できない。
  

(2)反対尋問
 おばちゃん検事の質問。
 でも、被害者に腕をつかまれたときの姿勢とか、
 新たに証拠として提出した写真は判決文のどの部分に
 もとづいているかとか、どうでもいいような内容なので省略。

 (つづく)


posted by ひろとも at 23:35| Comment(4) | TrackBack(0) | 法廷傍聴 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月08日

それでもボクはやってない【東京高裁・控訴篇】第一回公判

横浜市職員のFさんが痴漢の罪に問われた事件。
舞台は控訴審へと移りました。
昨日5月7日、東京高裁803号法廷にて第一回公判がありました。

【事件の概要】(当時の報道)

横浜市中区役所の34歳係長が電車内で女子高校生に痴漢
迷惑防止条例違反で現行犯逮捕

神奈川・横浜市の職員が、電車で女子高校生に痴漢をして、
現行犯逮捕された。 逮捕されたのは、横浜市中区役所の
係長・FA容疑者(34)。 F容疑者は(2007年5月)25日午前8時ごろ、
JR横浜線の電車の中で、高校3年の女子生徒(18)の下半身を
触るなどしたところ、女子生徒に腕を捕まれ、
菊名駅で警察官に引き渡された。
F容疑者は「やっていない」と容疑を否認している。



【第一審の経過】

一 7月17日 冒頭陳述、罪状認否
       (被告人は起訴事実を否認)
二 9月 7日 警察関係者に対する証人尋問
       (実況見分などはいい加減だったらしい)
三 9月28日 被害者に対する証人尋問
       (被害者は痴漢にあっているとき犯人の顔を見ていない)
四10月30日 弁護人の陳述
       (被告人の無罪を主張) 
五11月13日 被告人質問
       (検察官のおバカ質問にも丁寧に答える)
六12月14日 論告求刑・最終弁論
       (検察は懲役6か月を求刑・被告人は無罪を主張)
七 1月18日 判決
       (懲役6か月・執行猶予4年の判決)


そして、控訴審の第一回公判がはじまります。
時間は13時30分。14時までの30分間の勝負です。

裁判官は三人(裁判長・右陪席・左陪席)。
裁判長は競馬予想の井崎脩五郎に似た感じのおっさん。
若干白髪交じり。

傍聴席から向かって左側が被告人と弁護人の席。
顔ぶれは第一審と同じく被告人、夫婦の弁護士と若い弁護士。

右側は検察官の席。顔はよく見えないが地味な感じの女検事。

裁判長が開廷を宣言し、まず弁護側に話しかけます。
弁護人(夫)がなにかもごもごとしゃべっているのですが、
小さな声で早口で言うので、よく聞き取れません。
おそらく控訴してからきょうまでの間に
公判前整理手続かなにかのやりとりがあったのでしょう。
こちらの主張は控訴趣意書のとおりだとか、
事前にいったとおり証拠調べを請求しますとか、
そんな感じのことを言ってたのだと思います。
後にわかったのですが、弁護人は
被告人質問の請求と証拠物(ビデオと写真)の提出をしていました。

これに対し、検察官は、
控訴には理由がなく、棄却すべきものと主張。
さらに、証拠調べにはすべて不同意であり、
証拠物の提出は勝手だが(事実との)関連性は争うとしました。
横浜の第一審を連想させる「ぜんぶダメ」攻撃です。

弁護人はすかさず返し、関連性はあると主張。

苦笑いの裁判長は、ビデオテープについては
関連性は認めると判断。写真は後ほど調べるとしました。
さらに、「時間がない」との理由で、
提出されたビデオを見ることになります。

法廷に設置されたモニターは
われわれチームが座った右側の傍聴席からは
なんにも見えませんでした。
スピーカーから流れる音だけが聞こえてきます。

ビデオの上映は一審の時もありましたから、
それと同じものだろうと高をくくっていたら、
控訴審のために新たに作られたものでした。
「しまった」と思いましたが、そのまま音だけ聞き続けました。

まず、被害者の証言にもとづく事実検証がはじまります。
映像は想像するしかありませんが、
電車内の状況(シートとかつり革とか)を再現しているようです。
「判決文の記載どおり」という声が聞こえましたから、
被害者の証言は判決文の「理由」にもとづいているのでしょう。
「新横浜を出て」「混んだ電車の中で」
「二本の指先がするすると」「スカートの中へ」
「ブルマの上から」「そしてパンツのラインをなぞるように」……
かなりきわどい言葉が法廷に響き渡ります。

次に、被告人による再現があります。
ただ聞いているだけでは、さきほどと同じことを
繰り返しているだけにも思えますが、
混雑した電車内をかなりリアルに再現しているようです。
仮装被害者がいて、被告人とどんな感じと接していて、
前後左右にほかの乗客がこんな位置にいて、
仮装真犯人はここにいただろう、といったことを
丁寧に検証しているようでした。

ビデオの再生はかなり長く、
正確にはかっていませんが、15分前後はかかっていました。

ビデオ上映がおわったら、
裁判長はあとくされなく第二回公判の話をはじめます。
被告人質問はどれくらいかかるか、と弁護人に質問。
弁護人が30分と答えると、
次回の公判期日と時間をてきぱきと決めてしまいました。

さらに驚くべきことに裁判長は、いともあっさりと

「次回、結審する可能性もありますから」

と言い放ちました。


え!? もう結審しちゃうの(・O・;

あ〜あ……
一審判決の覆る余地がどんどん小さくなるように見えます。

くらくらしている間にもう閉廷。
13時52分。時間がないとか言ってて8分も余ってるじゃん。
なんだか、裁判がベルトコンベアに載せられて自動的に動いてく感じ。


次の被告人質問がホントの勝負になりそうです。
posted by ひろとも at 02:03| Comment(2) | TrackBack(0) | 法廷傍聴 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月19日

それでもボクはやってない【横浜地裁】判決

横浜市職員のFさんが痴漢の罪に問われた事件。
昨日1月18日、横浜地裁403号法廷にて判決の言渡しがありました。

 事件とこれまでの公判の概要については、こちら
 第六回公判(論告・弁論)については、こちら
 をご参照ください。


その日の403号法廷は、一つ前に
関東学院大元ラグビー部員大麻事件の公判があったからか、
それともこの痴漢事件に(一部で)関心が高まったのか、
傍聴席はけっこう、混雑していました。


まもなく裁判官がやってきて、
「被告人、前へ」
判決の言渡しがはじまります。

 主文
 被告人を懲役6月に処する。
 未決勾留日数中60日をその刑に算入する。
 ただし、この裁判の確定した日から4年間
 右刑の執行を猶予する。
 訴訟費用は被告人の負担とする。



やっぱり……。
ほのかな期待も抱いていただけに、
傍聴している自分まで愕然としてしまいます。

このあと、判決の「理由」の読み上げがあるのですが、
おおまかに言って、こんな感じでした。

 被害者の証言は、具体性、迫真性があり、信頼できる。
 被告人の証言は、不自然、不合理であり、信用性がない。
 被害者に痴漢行為をした手と、被害者がつかんだ手は、
 同一人物のものであるにちがいない。
 被告人は裁判になってから真犯人の存在に言及しはじめているが
 そんなものはでたらめである。
 よって、懲役6月、執行猶予4年の有罪が相当。



被告人・弁護人の主張を一切しりぞけた
検察の主張そのままのいい加減な事実認定。
はじめに有罪ありきの乱暴な理屈。
こんなちゃらんぽらんな裁判が
世の中には、まかり通っているのでしょうか。

勝ち誇ったかのような女検事。
あきらめ顔の被告人。
裁判官をにらみつける弁護団。
そそくさと退廷する裁判官。
法廷はなんともいえぬ異様な雰囲気に包まれていました。

被告人側は即日控訴するような雰囲気でした。
当然でしょう。

そして私はその後高熱を発し、いまも床に臥しております。



追記(2008年5月8日)
控訴審(東京高裁)第一回公判の様子はこちら

posted by ひろとも at 12:12| Comment(12) | TrackBack(0) | 法廷傍聴 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月17日

それでもボクはやってない【横浜地裁】論告・弁論

横浜市職員のFさんが痴漢の罪に問われた事件。
先日12月14日、横浜地裁403号法廷で第六回公判が行われました。

 事件とこれまでの公判の概要については、
 こちらをご参照ください。


今回は、論告と弁論。検察と被告人との意見の言い合いは
泣いても笑ってもここまで。きょうついに結審です。

前回と同様、被告人はスーツ姿。その後ろに弁護人が三人。
男弁、女弁(この二人は夫婦)と若弁。
検察官はきょうは若い女検事が一人だけでした。

裁判官が入廷して裁判がはじまります。
おおまかな流れはおよそ次のような感じ。

(1)証拠の採用について
 弁護人提出の証拠採用について検察は不同意としていたが、
 すべてそれを撤回。すぐに終わった。

(2)検察による論告(求刑)
 とにかく被告人が犯人に違いないの一点張り。

(3)弁護人による弁論
 検察の無理ある主張を一つ一つ潰してかかる。

(4)最終意見陳述
 改めて無罪を主張。


では、論告以降の詳細を・・・

(a)(2)の検察による論告
 検察官はきょうは女検事が一人だけで、
 前回いた不気味な笑顔のおじさんはいませんでした。

 女検事は、最初に犯人は被告人に違いないと言い、
 それを前提にすべての主張を押し通しました。
 被害者の証言はこれこれこうで、信頼性がある。
 被告人の証言はこれこれこうで、不合理で、信用性がない。
 被告人の犯行は強制わいせつにも匹敵する卑劣な行為だ。
 情状は、性犯罪でもあり再犯のおそれがあるので、酌量せず。
 求刑は、懲役6か月の実刑

 ついにでてしまいました。懲役6か月。
 迷惑防止条例で定められた罰則の最大値です。

 検察が論告している間、被告人はあきらめ顔の
 うつむき加減で話を聞いていました。
 日焼けした顔が心なしか紅潮しているのがわかります。
 ときどき、小さく首を横に振っていました。

(b)(3)弁護人による弁論
 男弁護士が淡々と意見を述べていきました。
 横浜線のダイヤ(根岸線直通列車の頻度)、
 東神奈川駅の構造などを検証したうえ、それらから導き出される
 被告人の当日の行動の合理性を主張していきます。

 さらに弁護人は被害者女子高生の供述の信用性は低いと主張。
 被害者は当日電車内で4回お尻などを触られているが、
 その4回さわったのがすべて同一人物とは言えないとしました。
  1 スカートの上をなでた
  2 ブルマの上から股間をなでた(菊名到着のアナウンスでとまる)
  3 スカートの上から軽くおかれた
  4 いったん離れたあと再度触れたときにその手をつかんだ
 4回目でつかまれたのはたしかに被告人であるが、
 1・2で触った人と、3・4で触れた人とが
 同一人物であると断定するのは被害者の供述だけからは
 到底できないと主張しました。

 検察は裁判になってから被告人が真犯人の存在をほのめかすような
 証言をしているが、なぜ捜査段階でそれを言わなかったかを
 追及している。ところが現実として女子高生が
 どんな目にあったのかもしらないのに、真犯人のことを
 思いつくはずがない。そしてそれを知らないことそのものが
 無罪である何よりの証拠だ、と。

 ちなみに、弁護士の弁論中に次のような事実も発覚。
 警察の捜査段階で、被告人とほぼ同じ身長の人物で
 実験してみたところ、被害者役のお尻に手が届かなかったので、
 被害者と身長がほとんど同じ人物に役を変えて触っている様子の
 写真を撮ったのだそうです。
 ということは、やはり被告人が被害者女子高生の
 お尻は触れないということを自ら証明してしまったんですね。
 警察や検察は自分でそのことに気がついているのでしょうか?

(c)(4)最終意見陳述
 裁判官に促され、いままでじっと座っていた被告人。
 すっくと立ち上がり証言台へ。
「私は・・・」
 声が震えています。
「この事件で、4か月の拘留をされました。
 友人は、そんな目にあうなら自分なら
 罰金払って罪を認めてしまうといっていました。
 でも、私は、
 やってないことをやったとは絶対にいえない。
 公正な判断をしてもらいたい」


判決は来年1月18日11時30分。決戦の金曜日。




posted by ひろとも at 22:31| Comment(5) | TrackBack(0) | 法廷傍聴 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月18日

それでもボクはやってない【横浜地裁篇】その3

横浜地裁、痴漢事件の被告人質問。

主尋問に続いて反対尋問がはじまります。

(b)検察による反対尋問
 弁護人の段階を踏んだ適確な主尋問に対し、
 検察(女検事)の反対尋問はまぁひどいもんでした。
 質問の順序もいい加減だし、何を証明するための質問なのか
 ぜんぜん見えてきません。
 
「痴漢行為に興味ありましたか?」
「ありません」
 そりゃそうだろ。
 
「左に密着している女子高生のことは
 意識しなかったの?」

 いきなりタメ口かよ!

「パイプから離した手はどんな状態でしたか?」
「自然な状態です」
手は開いているか握っているかのどちらかでしょ?
 手はグーとパーしかないのかよ!

「パイプから離した手を下に降ろしたのはなぜ?」
「電車から降りる人が多いので流れに逆らわないためです」
「痴漢に疑われないように気をつけるなら、
 手は頭の上に乗せるのがふつうですよね?

 ふつうじゃねえよ!!
(傍聴席一同ココロの中でツッコミ入れる)

「降ろした右手はなぜ女子高生のほうへ伸びたの?」
「慣性で自然に動いたんです」
「意識して伸ばしたんじゃないの」
 揺れる車内でバランスとればそうなるだろ!

「なんで電車のドアから遠い奥のほうへ行ったの?」
「スーツがシワになるのがイヤだったからです」
「そんなにイヤなら網棚に乗っければよかったじゃない?
 はいてるズボンを乗せられるかよ!!!
(傍聴席一同ツッコミ入れる。
 一部吹き出す音、小声でのツッコミあり)

こんな訳のわからない質問が延々と続きました。
弁護人からは異議が申し立てられましたが
裁判長はことごとく却下。
その異議に女検事は反省することもなく、
また延々と意味不明の質問。
挙げ句、裁判官に
テキトーに質問切り上げてください」
と言われる始末。

お勉強はできるんかもしれないけど、
世間知らずっていうか、人間のことがわかってないねえ。

裁判官もそうだよ。
電車内ことで的はずれな質問してた。
ラッシュアワーの電車ぐらい乗ってから裁判やってよ。

しかしねえ、検察も裁判所も、
こんなにとんちんかんなヤツばっかりだと世も末だ。
冤罪なんて簡単にできてしまうよ。
自分たちがいかにとんちんかんで頭でっかちか
少しでも自覚してくれるんなら裁判員制度ってのも
いいのかなって少しは思いました。

それにしても、被告人、えらい。
こんなお馬鹿な質問のオンパレードに
一度もキレることなく、忍耐強く答えていました。
私だったら、間違いなく「バカかお前?」って言うでしょうね。


さて、この被告人、本当に痴漢したんでしょうか。
判決が下る前に早急なこと言うのもなんですが、
私が被告人の答える内容から読み取る限りはシロですね。
なぜならば……
・デートの当日で(おそらく)浮き浮き気分の男が痴漢する?
・雨の朝でズボンのラインが消えることを
 神経質なまでに気にしているのに他のこと考える余裕あるか?
・もしあの位置関係と身長差で右手をスカートの中に
 入れるとしたら、かなり目立つ無理ある体勢になるのでは?
・やってないことやったと言えないならば、
 やったことをやってないとも言わないはず。
 もしこの男が本当に痴漢していたら罪は認めるのでは?
・被告人の発言にはブレがない。どんな繰り返しの質問にも
 ブレずに答えが一貫している。犯人だったら多少はブレるのでは?


これでも有罪判決になる可能性があるんですからね。
本当に恐いです。


最後になりましたが、
横浜地検の女検事がおすすめする
痴漢に疑われないための電車の乗り方を絵にしてみました。

soreboku_hama04m.jpg

こっちのが痴漢だよね(笑)


posted by ひろとも at 00:00| Comment(7) | TrackBack(3) | 法廷傍聴 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月17日

それでもボクはやってない【横浜地裁篇】その2

横浜市職員のFさんが痴漢の罪に問われた事件。

第五回公判のメインエベントは被告人質問でした。
最初に弁護人による主尋問、次に検察による反対尋問となります。

(a)弁護人による主尋問
 弁護人は、(事件のあった当日の)
  起床してから電車に乗るまでの状況
  電車内での被告人と被害者女子高生の立ち位置
  現行犯逮捕されたときの状況
 などを丁寧に質問、
 被告人もこれに対し、誠実に答えていました。
 ちなみに、被害にあった女子高生は、
 この電車内でスカートの中に手を入れられたそうです。

 主尋問のやりとりからわかったことは、おおよそ次の通り。

 当日5月25日は雨が降っていたのでいつもより早く
 家を出て、バスで最寄り駅である横浜線の中山駅に着いた。
 その日は前日が彼女の誕生日だったので
 夕方はデートでレストランも予約していた。
 おニューのスーツが雨に濡れてズボンのラインが
 消えてしまうのはいやなので、
 目的地とは逆方向の電車で一駅戻り、
 十日市場の駅からいつもの電車に乗った。
 電車には一両目に乗り、一番前のドアと二番目のドアとの
 中間付近まで入った。
 ドア付近は(特に中山駅からは)混雑状況がひどくなり、
 十日市場から乗って少しでも混雑していない
 ところに乗りたかった。

 新横浜からは特に混雑が酷くなった。
 自分の周囲も自由に身動きがとれないような状況。
 左手で傘とカバン、右手で鉄パイプを握っていた。
 うしろには小柄な女が乗っていた。
 前に女子高生(被害者)がいた。
 女子高生の右肩が自分の左胸と接触していた。
 左には女子高生と同じ背丈のサラリーマンの男がいて
 銀縁メガネをかけていて目つきが鋭い感じだった。
 左から電車の揺れとは違う不自然な形で
 ぐいぐい押してきたのでおぼえている。

soreboku_hama02m.jpg
soreboku_hama03m.jpg

 電車が菊名駅についてみんなが降りようとする。
 その流れにまかせてつかんでいたパイプから右手を離し
 右の女と左の女子高生にぶつからないように
 腕を降ろしてその4秒後に女子高生に手を掴まれて
 「この人は痴漢です」と言われた。
 自分は「やっていない」と言い続けた。
 ホームで押し問答をしているうちに警察が来た。

 警察でも検札でも罪を認めろと言われ続けた。

この中での、被告人の次のような言葉が印象に残りました。
「罰金だと停職、懲役だと失職。
 認めようかどうしようか迷ったが、
 これからの人生、考えると
 やってないことをやったと言うことは自分にはできない

 だからやっていないと言い続けた。」
 
まだまだ長くなりそうなので続きはさらに次回に!!

posted by ひろとも at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 法廷傍聴 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月15日

それでもボクはやってない【横浜地裁篇】その1

地方裁判所といっても東京地裁は首都にあるだけあって
やはり花形です。ホリエモンも来るし村上ファンドも来る。
でも、東京以外の地方裁判所はやはり地方色が豊かになります。
東京の隣、横浜地裁ですら、そんな雰囲気は漂います。

そんな中、痴漢の罪に問われてしまった横浜市職員の
刑事裁判があると傍聴仲間から教えてもらい、
傍聴仲間たちとともに横浜地裁に出かけてきました。

報道によれば事件の概要は次の通り。

横浜市中区役所の34歳係長が電車内で女子高校生に痴漢
迷惑防止条例違反で現行犯逮捕

神奈川・横浜市の職員が、電車で女子高校生に痴漢をして、
現行犯逮捕された。 逮捕されたのは、横浜市中区役所の
係長・FA容疑者(34)。 F容疑者は(5月)25日午前8時ごろ、
JR横浜線の電車の中で、高校3年の女子生徒(18)の下半身を
触るなどしたところ、女子生徒に腕を捕まれ、
菊名駅で警察官に引き渡された。
F容疑者は「やっていない」と容疑を否認している。


そしてこの事件の公判は、次のような経過で進んできた模様。
一 7月17日 冒頭陳述、罪状認否
       (被告人は起訴事実を否認)
二 9月 7日 警察関係者に対する証人尋問
       (実況見分などはいい加減だったらしい)
三 9月28日 被害者に対する証人尋問
       (被害者は痴漢にあっているとき犯人の顔を見ていない)
四10月30日 弁護人の陳述
       (被告人の無罪を主張) 

そして過日11月13日に第五回公判(14時30分より)が行われ、
この傍聴をしてきた訳です。
今回は被告人質問です。


横浜地裁403号法廷に入ると
すでに弁護人、検察官、書記官、みな揃っていました。

被告人はスーツ姿で入廷しており(保釈されている)、
ご家族は傍聴席の最前列に。その後ろに我々の傍聴仲間が。
弁護人は三人。男弁、女弁(この二人は夫婦)と若弁。
検察官は若い女検事と中年の男検事。

被告人は日焼けしていて背も高そう。
テニス部のキャプテンといった風。
女弁はしっかり者だが無口、男弁はなんだかおばさんぽい。
若弁はひげを生やした竹野内豊を小さくして小太りにした感じ。
女検事は化粧っけがなくちょっと縁遠い雰囲気の若いねーさん。
能面の小面(こおもて)を浅黒くさせて乾燥させたような顔。
男検事は設置されたモニターの影で最初は見えなかったが、
おかめのお面がおじさんになった感じでした。

裁判官が入廷して裁判がはじまります。

soreboku_hama01m.jpg

公判は次のような流れで進みました。

(1)証拠の採用について
 弁護人の提出した証拠を検察が同意するとか
 同意しないとかいったもの。
 すぐに終わった。

(2)弁護人証拠(VTR)の放映
 事件と同じ時間帯、同じ区間の横浜線車内の混雑状況を
 録画したもの。7〜8分で終わった。

(3)被告人質問
 本日のメインエベント。
 弁護人による主尋問、検察による反対尋問
 という順序で行われました。
 これがなんというか、まぁ、傑作でした。

 くわしくは次の記事にて!!

posted by ひろとも at 23:22| Comment(2) | TrackBack(0) | 法廷傍聴 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月04日

S女とM男と左陪席(後編)

きょう(6月1日)の本題は、
元おニャン子の山本スーザン久美子損害賠償(医療)事件。
いよいよスーザン本人への尋問です。

一同起立。
スーザンがはっきりとした口調で宣誓します。

原告席にはキツネ目超ドS女。被告席にはM男
きょうは被告側のもう一人の弁護士はいません。

注目のドS女の出で立ちは、
ちらちらと光る茶色のジャケット、その内側は黒のキャミソール。
下は黒のマーメイドスカート。
ストッキングは肌色で、きょうは穴が開いても大丈夫そうでした。
靴はカツカツカツと8センチヒール!(Oさん推計)
髪は毛先をやや揃えたようですが、ソバージュは伸びきって、
なんだかギリシア神話のメデューサみたい。
2doS_onnam.jpg
原告本人への尋問なので、まずドS女が質問します(注)。
さすがのドS女もスーザンは自分のクライアントですから、
質問の口調もちょっとソフト♪

スーザンは質問に対し、ひとつひとつ答えてゆきます。
被告の歯科医院に通うようになったきっかけ、
どんな診療を受けたか、いかに酷い診療を受けたか、
そして被告の態度がいかに酷かったか……。
2susanN400.jpg
しかし、聞いてみるとこっちまで腹が立ってくるほど
被告の歯科医はヒドイ!!

通い続けた10年の間に、チャームポイントの八重歯をはじめ、
歯を9本も抜かれて、顎関節症の治療もしないままに
矯正を続けて、歯はもうボロボロに。
最初は甘い言葉で治療代を安くするなど言いながら、
慣れてくると治療のたびに罵倒したり、治療器具を投げつけたり、
逆ギレして診療放棄までされたり。

しかも、

自宅に来ないかと何度も誘ったと。
「ス・ウ・ザン♪」といいながら指先でスーザンの鼻をつついたと。
触診と称して脇の下や胸を触ったと。
治療器具をスーザンの胸に置き、取りあげるときに
胸をなぞるようにした(ドS女曰く「乳首をなぞるように」)と。

立派なセクハラ!!

もう、ね。あんた敗訴!!(笑)

ただし被告への本人尋問は
前回(5月11日)の午前中に終わっているので、
私が被告の顔を見ることはもうできません。
それにしても、われわれチーム一同口を揃えて言うように、
10年も酷い治療をされて、セクハラまでされて、
スーザンが本当に気の毒。


1時間20分ほどの主尋問が終わり、
次に立ち上がったのは、反対尋問(注)するM男
2M_otoko400.jpg
紺のよれよれのスーツ。
目は相変わらずしょぼしょぼしていて、なんだかやる気なし。

そんなにイヤな思いをしたのに、なぜ通い続けたのか
というような質問。
最後は自分の意思で被告の医院に通い続けたのだろうと
言いたげなんだけれども、尋問の内容もちぐはぐ。
ちゃんと考えてきたのかなぁ?

あっさり20分で終了。


再主尋問(注)を経て、ようやく登場!
われらが麗しき左陪席さま!!!
2hidaribaisekim.jpg
黒い法服の襟元からちらりと見える水色のカットソー。
このコントラストにもうくらくら
ちょっとおおきめのつぶのネックレスがアクセントです。
玉のような声で質問を投げかけてゆきます。

この後右陪席裁判官、裁判長と三人全員が質問をするのですが、
裁判所の質問は、スーザンの顎の症状とそれに対する被告の処置、
通院歴の詳細についてのものに集中していました。
どうやら裁判所はあくまで医療過誤についての責任を問いたい様子。

でも、最後は和解勧告……。

こうなると非公開なので傍聴はできず。
結果が出るまで見届けたいのですが法廷でスーザンを見るのは、
これが最後になりそう。

和解交渉……決裂してくんないかな(爆)


posted by ひろとも at 00:00| Comment(4) | TrackBack(0) | 法廷傍聴 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月03日

S女とM男と左陪席(前編)

仕事そっちのけでまたまた通い続ける裁判所
その裁判所の脇の道ばたに、こんな掲示板があるのご存知でしょうか。
070601keijibanm.jpg
ガラス窓のついたボードにA4サイズのペラ紙がずらりと並んでいます。
これ、公示送達(注1)のための掲示板です。
民事訴訟の被告などに送りたい書類があるんだけど
その居場所がわからない(行方不明など)ときは、
「あんたに送りたいものがあるよ」
とここに掲示すれば送達されたことになるんですね。
人通りの少ない脇道にひっそり立ってても
誰も見ないんだけど(^_^;)


さて、6月1日に出かけた目的は二つ。
一つは、5月11日に判決が出た貸金事件について、
控訴されているかどうかを確かめること。
もう一つは、山本スーザン久美子が訴えている
損害賠償事件(医療)の傍聴。

われわれが追いかけている貸金事件は、
いわれのない借金を返済しなければならないという、
かなり理不尽とも思える判決(被告敗訴)でした。

今後、被告はどのような反撃に出るのか?
敗訴した第一審に対して控訴するのか? しないのか?

もし、控訴するなら、判決書が送達されてから
二週間以内にしなければなりません(注2)。
5月11日の判決なら、6月1日には控訴されてるかどうか、
わかるだろうとふんだのです。

われわれ傍聴チームは、
東京地裁14階の庶務課を訪れました。

「あの〜、地裁で判決がでた事件が
 控訴されているかどうか知りたいんですが〜?」


「ここではわからないので、
 その事件だったら、民事※◎部できいてください」


またすごすごと戻ってきて、
こんどは12階にある民事※◎部の書記官室へ。

「あの〜、事件番号○×△□番の事件は
 控訴されているでしょうか〜?」


「ちょっと調べてみますね〜」

おー、ちょっぴり好感触♪

と思っていたら、
「関係者の方ですか?」

うぉ、思わぬ反撃!
いちばん訊かれたくないことを訊かれてしまいました(汗)

そう思っていたらチームメイトのKさんが堂々と答えました。

「たんなる傍聴人です!」

ええ〜〜〜〜〜〜っっっ!!!!
そんな答えでいいの〜〜〜〜〜ぅぅぅ!?!?


もう、心臓バクバク!!

そしたら
「あ、そうですか」
とあっさり書記官さん。

え……(・_・) それでよかったの?

なんだか拍子抜け。

結果は、「控訴されている」とのこと。

1階ロビーに戻って、作戦会議。
どうやって高裁の弁論期日を調べるかが問題。

代理人の弁護士を探し出して訊いてみようかとか、
いろいろ考えたのですが、
んーーーー、やっぱ、
さっきの書記官室で教えてもらえるんじゃないか?

「おれ、きいてくるよ」 こんどは私一人で12階へ。

来てみると、さっきの書記官とは別の書記官が出てきました。

「事件番号○×△□番の事件の控訴された裁判の
 新しい事件番号とか、こんどの弁論期日とか、わかりますか?」


パソコンでかちゃかちゃと検索してくれます。でも、
「高裁で係属する部も新しい事件番号もまだ決まっていない。
 あと一か月くらいで決まるから、そのぐらいになったら、
 また問い合わせてほしい」
とのこと。
とても親切に対応してもらいました。
正面から堂々ときくと、けっこう教えてもらえるものなんですね。

やはり、この事件は追いかけてみたいので、
こまめに裁判所に問い合わせることにしました。
(つづく)



注1・注2
posted by ひろとも at 09:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 法廷傍聴 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月13日

役者が揃いすぎている(後編)

その日の山本スーザン久美子の口頭弁論は、
10時から17時まで丸一日の長丁場。
原告・被告の主張や反論がだいたい出揃った後の段階で行われる
証拠調べ(本人・証人)というものでした。
ひらたく言うと、原告・被告本人への尋問と証人尋問です。
もうスーザンが帰ってしまうってことは
スーザンへの本人尋問は終わってしまったのかな〜っと
少々がっかりしたのですが、
うれしいことにスーザンは再び法廷に戻ってきて
原告側の席に着きました。なぜだ?
事情がよく飲み込めないまま、午後の弁論が始まります。

証言台の前に二人のおっさんが出てきて宣誓をしました。
一人はS田医師、もう一人はM島医師。二人とも歯科医です。
尋問は、S田主尋問→M島主尋問
→S田反対尋問→M島反対尋問
の順で行われるとのこと。

S田医師が証言台に立ち、
被告側の弁護士(被告代理人)主尋問を始めました。
ということは、S田医師は被告側の証人なのですね。
被告代理人とS田医師とのやりとりで証人尋問が進むのですが、
この被告代理人、なんとも気の弱そうなおっさんで、
傍聴席から見ていても「アンタ、大丈夫かぁ?」
と、声をかけてあげたいくらいでした。
M-otokom.jpg
おどおどと尋問していると
原告席から「異議あり!」と声がかかってしまう(笑)
それに充分な反撃もできず、またまたおどおどと尋問が進むという
なんとも心許ない弁護士なのでした。
ひょっとしてあんたMかぁ? といいたいくらい。

次にM島医師が証言台に立ち、
原告側の弁護士(原告代理人=さきほど「異議あり!」と
発言した人物)
主尋問を始めます
(M島医師は原告側の証人ということになります)。
こちらの原告代理人、被告代理人とはまったく対照的な
気の強そうな、すれた感じのキツネ目の女
しかも服装は全身黒ずくめ、法廷にふさわしくないほど化粧も派手です。
ソバージュの毛先は色が抜けて茶色くなり、
おまけに黒いストッキングにはぽっかりと穴が開いていた(笑)
しゃべればダミ声、その物言いからして超ド級のSです!
doS_onnam.jpg
キツネ目ドS女はS田医師への反対尋問でついに大爆発します。
いくら被告側の証人だからって、
そんな高圧的な態度で尋問していいのかぁ? といいたいくらい。
だって、S田医師言ってましたですよ。
もう少し、やさしく言ってくれませんか?」(笑)

しかも、しかもですよ!!
キツネ目「○○○は、○○○だから、○○○ですよね?」
S田医師「はい」
キツネ目「○○○ということは、○○○で、○○ですね?」
S田医師「はい」
お〜い、もろに誘導尋問でーす!

しかも、しかもですよ!!
キツネ目「○○○について、一般的には、どうだと思いますか?」
S田医師「それは△△△だと思います!」

お〜い、もろに意見を求める尋問でーす!!

祈る気持ちで被告席をみると、
M男は目をしょぼしょぼさせながら黙って座っているばかり……。
こらっ! そこで「異議あり!」と言わねば、
男じゃないだろ!!

というより、相手は民事訴訟規則115条2項各号(質問の制限)を
総ナメするような尋問ばかりしてるのに、
そのまま許してるようじゃ、弁護士失格だろ〜〜!!
しかし……、
M男はS女に対してついに「異議あり!」とは言いませんでしたorz


そんな喪失感とも虚脱感ともいえぬ感覚にとらわれ、
途方に暮れているわれわれのもとに
颯爽とやって来たのが、左陪席裁判官
誰も否定しようのないほどの美人。
「裁判所より質問させていただきます」
気品あふれる軽やかな声でポイントをついた質問を
S田医師に対して投げかけてゆきます。
すばらしい、すばらしすぎる……。
hidarim.jpg
私の勝手な好みを言わせてもらえば、
キツネ目ドS女がイヤな女の典型とすれば、
左陪席さんは素敵な女のひとの典型ですね。


いや〜、しかし、この事件は大当たりでした。
たんなる元タレントが訴えを起こした事件ではありません。
もちろんそれもありますが、
M男キツネ目ドS女、そして左陪席さん
役者が揃いも揃っているのですから。

さらに言うなら、このスーザンの事件は、
(まだ全貌はつかめていないものの)医療事故に関するもので、
顎関節症が認められる場合の歯列矯正の是非を問うような内容でした。
(そう言えば、スーザンは尋問中
 つねに詳細なメモを取っていました)
いままで接したことのない医療事故の
損害賠償請求事件
であるという点も
われわれの興味をそそる重要な要素になっています。
ただ、「治療器具を患者の胸の上に置いていたのはふつうか」
というような質問も出ていたので、
訴えるきっかけにはセクハラみたいなものもあったようです。
ただ、当日の尋問を聴いている限りでは
いまいち争点がつかめませんでしたが。


で、最後に一言……。

あたしゃ〜、裁かれるなら
左陪席さんみたいなひとに裁かれてみたい!(爆)


民事訴訟規則第115条第2項
posted by ひろとも at 00:53| Comment(3) | TrackBack(1) | 法廷傍聴 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月12日

役者が揃いすぎている(前編)

昨日5月11日、またも霞が関の裁判所へ行ってきました。
われわれ傍聴チームが追いかけていた
とある貸金事件の判決言渡がなされるからです。

11時半すぎ、1階ロビーにたどり着いてみると、
先に来ているはずのOさんがいない。
遅れたのかナーと思いながらぼ〜っと待っていると
しばらくして少々興奮気味のOさんがやって来ました。
村上ファンド見てきたんですよ!
ええっ!? マジですか。

そう、昨日は村上ファンド事件の論告(求刑)の日でした。
著名事件とあらば傍聴券が必要なハズ。
「席が62人で集まったのが58人だったから、
 抽選なしで全員入れたんです!」
でも検事がとうとうと書類を読み上げるだけで退屈そうだ。
居眠りしちゃったんじゃないの?
「それが寝られなかったんですよぉ」
なぜ?
隣に座ったのが阿曽山大噴火だったんですよぉ
ええ〜っ!! そ、そっちのがびっくりだよ〜〜!!


さて、われわれの貸金事件の判決言渡は13時10分に行われます。
チーム一同集合して5階の法廷へ。

判決言渡の日に当事者・代理人は通常、法廷には来ません。
だから傍聴人なんてものはいるはずがない。
それでも裁判官は判決文を読みあげる決まりになっていますから、
誰も聞いていないとわかっていても音読します。
このことを「壁読み」というそうです。
誰もいない部屋で壁に向かって読むからそう言うんですね。

入廷した裁判官はむしろわれわれが傍聴席にいることに驚いた様子。
誰もいないはずのところに人がいるんですから。
でもわれわれのことは努めて無視して、
ただ無機質に、早口で壁読みを終えてさっさと帰って行きました。

その判決の内容は、被告敗訴というひどいものでした。
仕事の失敗の責任を無理やり押しつけられて、
本当だったら払わなくてもいいお金を払えという判決ですからね。
もし、被告が控訴するなら引き続き追いかけたい事件です。


きょうの目的だった判決はものの1分で終わってしまったので、
ほかの裁判を傍聴しようということになりました。
きょうは元おニャン子クラブ山本スーザン久美子
原告になっている事件があるのを突き止めていたので
そのことを仲間に伝えると、即「行こう!」という返事(笑)

7階にあるその法廷に向かうと、
偶然その部屋から出てきた人物は
他ならぬ山本スーザン久美子本人なのでした!
susanm.jpg
(つづく)


posted by ひろとも at 16:19| Comment(4) | TrackBack(1) | 法廷傍聴 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月24日

法廷傍聴

昨日3月23日は、あったかくて春らしい陽気。
友達と霞が関の裁判所(東京地裁・東京高裁)に行ってきました。
さいきん流行りの法廷傍聴♪ってやつです。

とある民事事件の傍聴に出かけてきたのですが、
昨日は新聞紙面などを賑わす著名事件が多数あって、
荷物チェックなどのある入口には行列ができていました。

目的の訴訟の弁論はあっさり終わったので、
ライブドア事件の会計士が被告人になっている事件の傍聴へ。
大きな104号法廷。著名事件なのに傍聴券は必要ありませんでした。
空席があったので(立見での傍聴はできません)法廷に入ると
判決の言い渡しはすでに始まっていました。
裁判長の「・・・刑の執行を猶予する」というところだけ聞こえたので、
執行猶予出たんだ〜っと思っていたんですが、
あとで聞いたら若い方の会計士は実刑だったそうです。

萌え系ウェイトレスさんのいる地下の喫茶室で昼ごはんを食べたあと、
傍聴券の必要な裁判も見てみたいということで、
オウム真理教中川智正の控訴審(高等裁判所)の傍聴へ。
整理券が配られるのでいったん建物の外に出て行列に並びました。
20070323bouchou02m.jpg

するとそこへ阿曽山大噴火さんが登場!
ロン毛に金髪、ピンクのフリース、デニムのロングスカート。
その特異な風貌が周囲を圧倒させます(笑)
20070323bouchou07tm.jpg

傍聴券がもらえるかはパソコン抽選で決まります。
幸い友達も私も当たり。阿曽山大噴火さんはハズレてしまったようです。
ハズレてもライブドア事件(会社)の判決、
薬害肝炎訴訟の判決もあります。
材料は揃っています。とにかく昨日はてんこ盛りでした。

さて、当たった人は傍聴券を受けとります。
おおおおぅ、はじめて見る傍聴券!!
20070323bouchou01m.jpg

725号法廷へ向かいます。
一般的な事件の傍聴と比べてセキュリティチェックが厳しく、
男は荷物、女の人もカメラ付き携帯電話などを預けなければいけません。
ノートとえんぴつだけ持って傍聴席へ。
被告人中川智正はすでに入廷していました
(「被告」は民事訴訟の用語)。
しかもふつーの格好で。腰ひもも手錠もはずされていました。
20070323bouchou05t.jpg

すぐに開廷(13時15分)、弁護人の意見陳述がはじまります。
ひげをはやしたちょっとクセのありそうな弁護士。
いわゆる人権派ってやつ?
20070323bouchou03t.jpg
たらたらと、しゃべるしゃべる。
被告人は自分の意思で犯行をしたのではない、
神秘体験をしていた、トランス状態になった、
責任能力はなかった……など、たらたらたらたら。

あまりに長くて、裁判長の姿勢がだんだん下がってくる。
20070323bouchou04t.jpg
椅子の背もたれがやたら大きく見えてくるぞ。


この空気、なんだ。


裁判官(3人)、検察、傍聴席……。
ここにいるほとんどの人びとの間にけだるい空気が漂う。
ものすごくやる気なさげ。

退室してしまう傍聴人、居眠りする傍聴人。
私も居眠り。
友達も居眠りして挙げ句、
うん♪
だなんて寝言までいってる(笑)。
(本人曰く「自分の寝言で目が覚めた」)

がんばっているのは陳述している弁護人だけ。
裁判官がしびれを切らして、
「陳述開始から一時間たっています」
と言う。それに対し、弁護人、
「二時間以内には終わらせます」
オイ、他の人にしゃべらせない気かよ!!(笑)

結局、開廷から1時間45分たって、三人の弁護人の意見陳述が終わった。

いままで寝ていた検察官が立ち上がる。
20070323bouchou06t.jpg
「原審に誤りはない。よって本件控訴は棄却されるべきである」
それだけ言っておわり(笑)。

そんなわけで一同やる気なさげのままに結審。
判決言い渡しの日は追ってお知らせするということになった。

「こりゃ、棄却だよね〜」
口々に言いながら、法廷を出る。

いやぁ〜、いろいろなことがありすぎて、力が抜けました。



(注)写真はすべて、撮影が禁止されていない場所で撮影しました。
 法廷では写真撮影、録音、危険物の持ち込みなど禁止されている
 事項がいくつかありますので注意が必要です。
 法廷傍聴については下記「裁判所」のHPなどを参考にしてください。
http://www.courts.go.jp/kengaku/botyo_tebiki.html
posted by ひろとも at 18:40| Comment(6) | TrackBack(0) | 法廷傍聴 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする